冷や汁
上杉の城下町が育んだ、季節の恵みを味わう伝統の逸品、山形県「冷や汁」冷や汁(ひやしる)とは
山形県米沢市発祥の郷土料理「冷や汁」は、冷たい出汁に季節の野菜を合わせたさっぱりとしたおひたし料理です。その歴史は戦国時代に遡り、上杉謙信公の陣中食として生まれたという説や、上杉鷹山公が奨励した“一汁一菜”の食文化に由来するといわれています。現在も祝いの席や日常の食卓で愛されるこの料理は、地域の伝統と自然の恵みを表しています。 冷や汁の主な食材には、雪菜、ほうれん草、キャベツ、干し貝柱、凍みこんにゃくなどが使われます。これらの具材はビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含み、栄養価が高いのも特徴です。特に雪菜は、冬の寒さに強く、上杉鷹山公がその栽培を奨励した歴史的背景があります。シャキシャキとした食感と独特の風味が、冷や汁に特別なアクセントを加えています。 調理方法はシンプルながらも奥深い味わいがあり、冷たい出汁の中で具材の旨味が引き立ちます。四季折々の野菜を取り入れることで、春のキャベツや菜の花、秋の菊、冬の雪菜など季節感を存分に楽しむことができます。また、米沢の地域では結婚式や正月などの祝いの席で提供されるなど、特別な行事にも欠かせない一品です。 冷や汁を味わう際には、山形県産の日本酒が相性抜群です。軽やかな酸味とフルーティーな香りの吟醸酒は、冷や汁のさっぱりとした味わいを一層引き立てます。また、米の旨味が特徴の純米酒も、この料理との相性が良く、豊かな風味を楽しむことができます。 山形県を訪れた際には、地元の新鮮な野菜と伝統的な技法で作られる冷や汁をぜひお試しください。その素朴で味わい深い一皿が、地域の歴史や文化を感じさせてくれることでしょう。
【冷や汁レシピ】米沢の郷土料理を山形大学工学部生がクッキング!
冷や汁(ひやしる)のレシピ(材料(4~5人分))
■材料
- [具]ほうれん草100g
- [具]人参20g
- [具]キャベツ100g
- [具]雪菜100g
- [具]豆もやし50g
- [浸し汁]干し貝柱3個(8g)
- [浸し汁]干ししいたけ2枚
- [浸し汁]凍みこんにゃく1枚
- [浸し汁]だし汁(貝柱の戻し汁)330mL
- [浸し汁]醤油50mL
- [浸し汁]みりん50mL
■作り方
- 1 [浸し汁を作る(1)]
- 干し貝柱を前日の晩から水に浸し、柔らかく戻したらほぐします(浸し汁は出汁として使用します)。
- 干ししいたけを水で戻し、薄切りにします。 - 2 [浸し汁を作る(2)]
- 凍みこんにゃくを水で戻し、水が白く濁らなくなるまで水を換えながら拝み洗いをします。
- 水気を絞り、縦半分に切った後、7~8mm幅の短冊切りにします。 - 3 [浸し汁を作る(3)]
- 1の貝柱の戻し汁330mL(不足の場合は水を追加)と、醤油・みりんを鍋に入れます。
- 1の貝柱、干し椎茸、2の凍みこんにゃくも鍋に入れて軽く沸騰させ、5分間煮ます。
- 火を止め、冷ましておきます。 - 4 [具を準備する(1)]
- ほうれん草をゆでて3cm長さに切ります。
- キャベツもゆでて3cm長さの短冊切りにします。
- 豆もやしはひげ根を取り、ゆでて3cm長さに切ります。
- 人参は3cm長さの千切りにし、さっとゆでます。 - 5 [具を準備する(2)]
- 雪菜は根本から外しよく洗い、3cm長さに切ります。
- さっと湯通しし、そのまま冷まします。 - 6 [仕上げ]
- 冷めた浸し汁に野菜を和えます。
- 1時間~1晩、冷所で味を馴染ませます。
- 盛り付け時は具だけでなく、たっぷりの浸し汁とともに提供します。
その他情報
- 名称冷や汁
- 読み方ひやしる
- 都道府県 山形県
- 料理カテゴリ 郷土料理・ご当地グルメ
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