納豆餅

伝統の味と素朴な甘み—山形県の冬を彩る「納豆餅」
納豆餅

納豆餅(なっとうもち)とは

山形県の郷土料理「納豆餅」は、地元の冬の定番として知られています。お正月や寒い季節に家庭で作られるこの料理は、昔ながらの素朴な風味と栄養価の高さで、地域住民に愛され続けています。納豆餅は、つきたてのお餅に特製の甘い納豆ダレを絡めた一品。山形特有の気候風土と伝統が織りなす味わいが特徴です。

そのルーツは、保存性に優れた納豆を活用した生活の知恵にあり、家庭ごとに味付けの工夫が加えられてきました。甘じょっぱいタレは、地元産の味噌、砂糖、醤油を使い、濃厚で奥深い味わいに仕上げられます。このタレともちもちのお餅が絡み合い、口に運ぶたびに豊かな風味が広がります。

主役となるお餅は、山形県産のもち米から作られます。寒暖差の激しい環境で育まれたお米は、粘りが強くしっかりとしたコシが特徴。つきたての柔らかいお餅に、納豆のタレがよく絡み合い、噛むほどに豊かな味わいが広がります。一方、タレの主役である納豆は、発酵による独特の旨みと栄養を兼ね備えています。

納豆は、「健康を支える万能食材」として注目されています。たんぱく質が豊富で、体を作る材料として欠かせないほか、ビタミンK2という成分が骨を丈夫にしてくれる働きを持っています。さらに、納豆特有の「ナットウキナーゼ」は、血液の巡りをスムーズにしてくれるといわれています。また、大豆由来のイソフラボンは、美容や健康に大きな役割を果たす成分です。イソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをする「植物性エストロゲン」として知られており、骨を強くするサポートや肌のハリを保つ助けをしてくれます。また、抗酸化作用もあり、体内の老化を抑える効果が期待されています。これらの栄養素がバランスよく含まれているため、寒さで体が疲れやすい冬にぴったりの食材といえます。家庭では、納豆餅を囲みながらの団らんが冬の楽しみのひとつとされており、地元の文化や絆を深める存在となっています。

この素朴な味わいには、さっぱりとした飲み口の日本酒がよく合います。お餅のもちもち感と甘辛いタレを、日本酒のすっきりした風味がやさしく包み込んで、相性抜群です。山形を訪れた際には、ぜひ納豆餅を味わい、地元の文化と伝統に触れてみてください。

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