うずみ膳

和歌山が誇る、香り高き山里の隠れ膳
うずみ膳

うずみ膳(うずみぜん)とは

和歌山県古座川町に伝わる「うずみ膳」は、地元の豊かな自然と長い歴史が詰まった郷土料理です。昆布としいたけで丁寧にとった香り高いすまし汁に、豆腐やしいたけを加え、白米をそっと具材の下に隠すことで仕上げます。この調理法が「うずみ」という名前の由来となっています。薬味には、地元で採れる柚子やしょうが、ねぎなどが用いられ、彩り豊かでさわやかな香りを楽しむことができます。

この料理の発祥は、古座川の源流近くにある平井集落。壇ノ浦の戦い(1185年)の後、平家の落人がこの地に住み着き、農民が貴重な白米を隠して食べたことが起源とされています。また、1221年の承久の乱で京都から逃れた村上一族がこの地に辿り着き、茶懐石文化をもとに洗練された「うずみ料理」を作り上げたともいわれています。この二つの説が重なり、平井の地ならではの独自の文化が形成されました。

「うずみ膳」は、かつて法事の際に供えられる特別な料理でしたが、その精進料理としての奥深い味わいは現代でも人々を魅了します。昆布としいたけのだしが持つ自然な旨みと、薬味が織りなすさわやかな風味は、古座川町の豊かな自然そのものを感じさせます。控えめな見た目ながら、椀の中に広がる味の調和は格別で、遠方から訪れる人々を惹きつけています。古座川を訪れた際には、ぜひ「うずみ膳」を味わい、その土地が育んできた歴史と文化を舌で感じてみてください。

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うずみ膳のレシピ(材料:10人分)

■材料
出汁昆布 10cm角3枚
生しいたけ 300g(または乾燥150g)
木綿豆腐 2丁
【薬味】青ねぎ 5本
【薬味】みかん皮 3個分
【薬味】ごま 150g
【薬味】しょうが 適宜
【薬味】ごはん 少量
■作り方
1.  昆布をさっと洗って、水8カップを入れた鍋に入れておき、火にかけて沸騰したら昆布をとり出します。
2.  石づきを取って千切りにしたしいたけを鍋に入れ、弱火で2分から30分程度煮て、だし汁を作ります。
3.  塩小さじ1、薄口醤油小さじ2で薄味に味付けし、1cm角に切った豆腐を入れます。
4.  青ねぎは小口切り、みかんの皮は白いワタを除いてみじん切りにし、しょうがはすりおろしておきます。
5.  豆腐が浮き上がったら椀に入れ、ごはんを少し入れて薬味を好みで浮かせ、熱いうちに召し上がってください。

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