芋煮
秋の風物詩、山形の里山が育む温もりの一杯芋煮(いもに)とは
山形県の代表的な郷土料理「芋煮」は、秋から冬にかけて親しまれる温かい鍋料理です。主な食材は里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎで、地域や家庭によって味付けや具材が異なります。特に内陸部では牛肉を使用した醤油味が一般的で、日本海側の庄内地域では豚肉と味噌味が主流です。 「芋煮」の起源は1600年代半ばに遡ります。当時、最上川舟運の終点であった中山町長崎付近では、船頭たちが荷受人を待つ間、河原で宴を開いていました。近くの里芋の名産地・小塩集落から手に入れた里芋と積み荷の棒ダラを鍋で煮て食べたことが、「芋煮」のルーツとされています。その後、昭和初期から牛肉が使われるようになり、現在の形になりました。 秋になると、山形県内では河原や公園で家族や友人と「芋煮会」を開き、自然の中で鍋を囲む風景が見られます。特に9月中旬に山形市の馬見ヶ崎川河川敷で開催される「日本一の芋煮会フェスティバル」では、直径6.5mの大鍋で作られる大量の芋煮が振る舞われ、秋の風物詩として定着しています。 主な食材である里芋は、コレステロール値を下げる効果や胃の粘膜を保護する働きがあり、健康面でも優れています。また、牛肉は筋肉の維持に必要なタンパク質や鉄分を豊富に含み、体力増強に寄与します。これらの食材を組み合わせた「芋煮」は、栄養バランスに優れた一品です。 「芋煮」はおかずとしても、酒の肴としても楽しめます。温かい芋煮を味わいながら、地酒を嗜むひとときは、山形の風土と歴史を感じる贅沢な時間となるでしょう。 秋の訪れとともに、山形の自然と人々の温かさが詰まった「芋煮」をぜひご堪能ください。
「日本一の芋煮会フェスティバル」 直径6.5メートルの大鍋で3万食調理
芋煮(いもに)のレシピ(材料(丼または大きな)
■材料
- <内陸地域の「芋煮」>
- 里芋(皮つき)500g
- 板こんにゃく1/2枚
- 牛肉(バラ肉、切り落とし肉など脂身の多い部位が好ましい)150g
- 長ねぎ1本
- 醤油大さじ4
- 砂糖大さじ1・1/2
- 清酒(日本酒)大さじ3
- 水800cc
■作り方
- 1 里芋は皮を剥き、大きめの一口大に切ります。
- 2 牛肉は4cmくらいの幅に切り、長ねぎは大きめの斜め切りにします。
- 3 板こんにゃくは手で一口大にちぎります。
※精粉で作られているこんにゃくを使用する場合は、ゆでこぼしの操作は省略できますが、生芋こんにゃくの場合はゆでこぼしが必要です。 - 4 鍋に水(分量通り)、里芋、こんにゃくを入れて火にかけます。軽く沸騰してきたら醤油(大さじ1)を加えて煮ます。
- 5 里芋が柔らかくなったら、牛肉と残りの調味料(醤油大さじ3、砂糖、日本酒)を加え、アクをすくいながら煮ます。
- 6 長ねぎを加えて、くたくたになるまで煮込みます。しっかり味を染み込ませたら完成です。
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